インナーチャイルド〜光と闇の出会い
毎年5月の連休に、インナーチャイルドワークショップの集中コースを開催するようになって何年になるでしょうか…。世の中には5月病を煩う人が増える季節なのに、私にとってはこれから1年が始まるような気分さえするのです。
今年のコースは、いつもよりも長い連休がつづいたこともあり、6日間の連続集中プログラムを提供することができました。
インナーチャイルドワークでは、その概念を学んだり、心の探求のためにゆっくりと時間を費やすことが必要です。そしてチャイルドの存在を実感しながら、彼らが抱える深い心の傷を癒し解放していくプロセスを辿っていきます。
何時からか、「インナーチャイルドワークは怖い」という風評(苦笑)が飛び交い、ワークへの参加を迷っているという人から相談を受けるようになりました。
実際に、かつてのコースでは、毎年のように体調不良を訴える人や、土壇場でキャンセルする人などもいて、その対応に追われることが多かったことを思い出します。
多分、深い昔のトラウマについて触れるような印象があるからでしょう。
それほど人間は、自分の中の闇を覗くことに対して、恐怖感を抱いているのです。
今年も、そんな恐れの感情を乗り越え、勇気ある人々が参加をしてくれました。
10年来表現アートを経験しつつも、このコースだけはなぜか避けていた人、散々迷った上に決心した人、偶然にも震災のおかげで日程が調整することができて参加が可能になった人など、満を持した勇士達が集まりました。
皆、貴重な時間を割いてまで、ここに辿り着いたのは何か意味があるのでしょう。
その緊張感と決意のようなものを感じながら、私達ファシリテーターも気持も自然と引き締まりました。
今年のテーマは、<トランスフォーメーション – 変容>。
インナーチャイルドが抱く、心の傷という幻想を解き、在るがままの自分へと変容するプロセスを体験するための新しい試みです。過去のトラウマという恐れを乗り越えるためには、何か背中を押してくれる存在が必要です。
インナーチャイルドのような深いセラピーでは、過去を追体験する必要があると信じられてきました。心の闇を見つめること、そこに挑むことは確かに恐ろしい経験かもしれません。
それは、まるで暗闇の世界を彷徨うような孤独と痛みに襲われることへの恐怖感も伴っています。
このデリケートなテーマを扱うためには最善のケアが必要なことは、これまでの経験から学んで来た事でした。インナーチャイルドワークを重ねてきて思うのは、闇に臨むためのツールについて模索してきた道のりでした。
実際に、私達の心には闇のような傷が実在するのでしょうか?
この光と闇の世界を描いた一つ唄に出会いました。
<光とは>
光とはこの手にありのままを写すだけ
光とはこの手のありのままを写すだけのこと
見ていたくても
見たくなくても
光が差せば
見ずにはいられないの
過去は照らさず
今を照らして
光が差せば
自然と見えてくるの
※作詞:笹川美和
闇とは、光が届かない場所のことを指します。
光とは、闇を照らすために在る存在です。
闇を彷徨い光を求めるあなたは闇そのもの。
そして
闇を見つめようとしたとき あなたは自分が光だったことに
気づくのです。
インナーチャイルドたちは、感情の仮面をかぶりながら、現実の世界で
抗います。
怒りも、悲しみも、喜びさえも、本当の自分のものではなかった。
生きるために感情を模倣しつづけたことで、自分の本当の感情を見失ってしまいました。
まるで、闇の中に落としてしまった忘れ物のように。
様々な模倣された感情の中で、一つだけ装えない感情があります。
それは「勇気」という感情。
勇気は装っていても、自然と身体に力がみなぎってくるのを感じるはずです。
勇気とは、様々なネガティブな感情を手放すためのツールなのです。
ひとたび闇に光がさせば
自らの源に声が届きます。
闇に臨むためのツール、それは源の力です。
ソース(源)プロセスという、自分自身のコア・ステートに辿り着くプロセスワークを通して、闇に光を照らしていくことで、自分が何に傷つき、苦しんできたか、その意味を知ります。
幼かった自分が下した判断は、自分を縛る限界を創り上げ自分が創り出した限界の下で、不自由という安堵感に身を窶(やつ)していたのです。
照らし出すのは、過去ではなく今に生きるインナーチャイルドの心の闇。
闇を照らすのは、光へと成長した大人としての自分。
恐れなど手放し
光などこの手の在りのままを写すだけ
ただ 在りのままの自分を照らすたけ
ただ それだけのこと
インナーチャイルドワークとはそんな優しい時間でした。
たくさん泣いて笑ったみんなは最後のシェアの中で、こんな風につぶやいていました。
「ぜんぜん 怖くなかった」
6日間、本当に参加してくださったすべての人が、自分自身の光に触れ、その力を使って様々な壁に立ち向かってくれた姿が目に焼き付いています。
みんなの勇気は美しい光を放ち、源の力として、今ここに在りのままの姿としてただ 在ったのです。
そんな姿を見せてくれたことを、本当に心から感謝しています。
そして、あなたの心の中に棲む子供に伝えてあげてください。
そう 全然こわくないよ。
目をぎゅっと閉じているから、光が見えないんだよ。
私が手を握ってるから
そっと目をあけてみて
きっと光が見えるから
私があなたの光だから…。
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