【内なる力〜意志力を育てる】インナーチャイルドワークショップを終えて
人は理想の自分の姿を、現在の在るがままの自分と照らし合わせることは少ないでしょう。
多くの人が自分の欠点や自信の持てない部分に対し、改善や成長を望みます。
しかしその願望は、意志を強固に持っても、易々と実践できるものでもないようです。
ダイエットを決め込んだとしても、次の瞬間、目に飛び込んで来たデザートの誘惑にもろくも決心は揺らぎ、実行は明日以降へと持ち越されてしまいます。私など、日記を書こうと思っても3日どころか、1ページしか書かれていない日記帳を沢山持っています。
そんな私でも何故か続いている習慣もあります。
それは意外にも、なんとなく始め、いつまで続けようという硬い意志を持たなかったものだったりします。途中で、滞った日があっても、出来ない時も、あまり気にしないようにするのです。わたしは生来、あまり生真面目なほうではないので、出来なかったことに対し落胆しないほうでした。やりたいことは、結局何が何でもやるものです。
達成したい夢や目標があるなら、頼まれなくてもやり続けるでしょう。
しかし、そういう楽観的な考えや態度は、結果的に良い方向に働く場合もあれば、単なる怠慢となり、いつまでも目標を達成できなくしてしまうというリスクもはらんでいます。
皆さんは、流れる日常を無為に過ごしてしまったという経験はありませんか?
達成できない目標をたくさんの言い訳で封印しながら、好きになれない自分に愛想を尽かし、いつしか期待もしないようになる時。自分を甘やかした結果、在るがままの自分のことを、理想とはほど遠い自分だと思い込んでしまうような。しかし、ここでピリオドを打ってしまうのはもったいない…。
理想の自分、望む現実を創り出す鍵は、そこに向かう意志の力によります。
そして、面白いことに人間の意志の力は、肉体の筋力同様、鍛えれば発達するものなのです。
自分を変革するためのアイデアが書かれた本、『スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)
』によると、人間の行動を制御する「意志」の力の使い方を知ることによって、人は自分の能力を発揮し、目標の達成を成し遂げることができるようになるそうです。
能力を発揮するための力には、「やる力」「やらない力」「のぞむ力」があるそうですが、これらを司るのが「意志力」というエネルギーなのです。ちなみに、「やる力」「望む力」には、理想を抱くイメージ力や動機、そして目標に邁進する行動力などがありますが、もう一つの「やらない力」とは何でしょう?
それは、目標に向かう意志を妨げるあらゆる誘惑や、甘えを自制する力を指します。
人間は、やりたい事、やった方が良いことを、目標達成のためのプロセスとします。しかし、それを継続する時にかならず「怠け心」などの甘えや、抵抗感からの逃避への衝動に心が奪われてしまいます。つまり、自分にとって役に立たない衝動をいかに回避するかも意志の力の使い方によって決まるのです。
たとえば、勉強や運動を継続しようと目標と立てたとします。しかし、目的の行動を起こそうとすると、それを阻む誘惑(たとえば、テレビやインターネット、ゲーム、友人とのおしゃべりetc)に気を取られ、ついつい目標を後回しにしてしまうことが起こります。頑張ろうと思った初志など何所へやら。目標としていた成果を達成するどころか、後退してしまうことも珍しくありません。
そんなとき、多くの人は自分のやる気のなさを責め、いとも簡単に自分に見切りをつけてしまいます。この誘惑の多くは脳の中に生まれるドーパミンという陶酔物質によるもので、人間は無意識にこの物質のもたらす刺激を求め、生産性の無い行動に駆り立てられてしまいます。
仕事や勉強や家事が山積みになっているのに、やる気が起こらない。忙しいのにテレビゲームをしてしまう。ベッドから出られない。暴飲暴食に走ってしまう、等。何度後悔しても、繰り返しこのような行動を続けるのには、思いがけない原因があるそうです。
それは、目標や課題を達成出来なかった時や、失敗してしまった時、自分を強く責めてしまう人と、「まあ、仕方ない」とあっさり自分を赦してしまうタイプが居るとしたら、以外にも自分を厳しく律する前者のタイプの方が、その後同じ過ちを繰り返す確率が高くなるという統計があるのだそう。
前者(自分を責め立てるタイプ)の場合、自分に責められた事によるストレスで、やる気自体が枯渇して、次に頑張ろうという意識が萎えてしまうそうです。反対に、失敗しても自分を責めずに、気を取り直して課題に取り組むほうが、やがては目標を達成する確率が高まります。
甘える自分に見切りをつけ(やらない力)、在りたい自分に向かって(望む力)、行動を継続すること(やる力)が目標達成の鍵となるのです。
インナーチャイルドワークショップの中で、心の中に棲む子供と親の意識についてお話をすることがあります。私たちは大人になっても、子供のような遊び心(時には怠け心)を持ち、そのチャイルド(子供の自分)を監視するネガティブなペアレント(親)の心と、おおらかな目で受容するポジティブなペアレントの心を同時に存在させています。
人によっては、厳しすぎるネガティブなペアレント(ネガP)に、年がら年中、批判されることで、チャイルドが傷つき、力を失っているケースが少なくありません。そして、興味深いのは、一旦自分が何かに挑戦しようとするとき、困難にぶつかると、あっさりあきらめたり、怠けたりする自分を必要以上に甘やかすこれまたネガティブなペアレントが存在することです。
時として、この甘やかしを優しさと取り違えてしまうことがあるのです。結果的に、何も達成することなく時間だけが過ぎてしまうのです。これでは、どうしようもありません。
自分を在りたい自分に導く術として、考えられるのは、残るポジティブなペアレントの意識を活用すること。つまり、達成したい目標や夢に向かって行動するように自分を励ますことや、たとえ失敗したとしても、それを責めずに何度も背中を押し続けることが、成功へと導いてくれるのです。
これが、心の中に棲むポジティブな親の要素です。それらはまさに「意志力」のようです。
つまり、「叱られるから」やるのではなく、「はげまされること」によってやる力が湧くのですそして失敗は、罰することで改善されるのではなく、許されることで繰り返さなくなるのです。
この心のシステムを学び、自分が無意識にかけてしまっている無数の罠を取り除き、自分を自由にする必要があります。
スタンフォードの本では、興味深い統計や分析によって明らかにされた人間の習性について知ることが出来ますが、たとえそれを知っても、自動的に私たちの目標や理想が達成されるわけではありません。実践し、遂行するためにはどうしたらいいか?
そのためには、リラックスすることが大切であり、そのためには呼吸法や瞑想が良いという、シンプルな答えに、少しばかり拍子抜けしたものの、考えてみると、真理に出会い深い自己の核心の力に触れるためには、やはり心の王道は外せないのでしょう。
インナーチャイルドワークは、自分を許すこと、自分を在るがまま受け入れることを学ぶことで、在るがままの自分が理想の自分だと言うことに気づいて行くプロセスワークです。
自分を必要以上に甘やかし、自立への力を奪ってしまう甘やかしのペアレントの罠や、失敗を罰し、挑戦することへの怖れをかき立てる批判のペアレントの呪縛から自分を解放する決意を結ぶこと。
このネガティブペアレントの思考をやめ、ポジティブなペアレントの赦しや励ましの心を取り戻すことが必要です。ぐずぐずしていると、大切な人生の時間はあっという間に過ぎてしまいます。
長い呪縛によって閉ざされた心を解放し、沢山の夢を達成するのは、あなたの意思の力次第なのかもしれません。
今年の秋は新刊「もう落ち込みたくないと思ったら読む本 —悩みを手放す「マインド・デトックス」メソッド
」の出版にちなんで、解放のワークを盛り込んだインナーチャイルドワークを連続で開催しました。
昔は、トラウマに取り組むワークが多かったのですが、最近は解放にフォーカスするものに変化して来たからでしょうか、皆とても軽いエネルギーで5日間を過ごして居るのが印象的でした。
笑い、涙、そして感動で北軽井沢のアトリエシーズンを終えました。
沢山の夢と共に。