思えば、2007年に初めてアトリエワイエスの講座に参加してから、早や14年の年月が経とうとしています。テクニカル講座は、本来もっと早く受けたいと思っていたのですが、どうしたことかタイミングが合わず、この夏、ようやく受けることができました。
表現アートセラピーのワークには慣れているはずなのに、今回の講座は、不思議と初めて受けた時の感覚が戻ってくるような感じがありました。それは新鮮でもあり、鼻の奥がつんとするような懐かしい痛みを思いだす感じでもあり、何とも言えない複雑な感覚でした。
初めてアトリエワイエスのワークに参加した時、私は精神的にも身体的にもどん底の状態でした。私は子供のころから体質的に外界の刺激を受けやすく、「気分」が上下しやすかったため、「自分で自分の気持ちがわからない」上に、私が育った家では、感情をはっきり言葉にすることを良しとしない文化があったせいで、自分の感情に蓋をした状態で、大人になってしまいました。それでも様々な仮面をかぶってなんとかしのいできたのですが、いろいろな状況が重なり、その時期、とうとう破綻してしまったのです。
最初に受けたのは、今回のテクニカル講座の中にも含まれていた「サウンド」のワークでした。音楽を聴きながら、その音そのものを追いかけてどんどん絵にしていく・・・あまりの楽しさに夢中になり、この世にこういう世界があるのか、という衝撃で、目がくらみそうでした。言葉以外で、自分の感覚を表現していいのだ、ということ。そしてその表現は一切の「判定、評価、ジャッジ」を受けないのだ、ということ・・。それは、私の育った環境には、存在しなかったものでした。身体の内側に湧いてくる、言葉にできない何か、それをこんな形で外に出してあげることができるなんて!その後、インナーチャイルドワークをはじめ、数々のワークに参加しましたが、全てこの時受けた感動と、それを可能にしてくれたアトリエワイエスという場への信頼がベースにありました。
結局のところ、場を創るのは人です。アトリエワイエスという場があって、そこに集う人たちが「自分を知りたい」、「表現したい」、「自分と仲直りしたい」といった願いを胸に、お互いを尊重しあい、プロセスを信頼しているからこそ、そこで奇跡のような変容や気づきが起こり、そこにチャレンジした自分や仲間への信頼が増すのだと思います。そして、そのチャレンジを信頼し、見守り、時には道を照らし、新しい知識を惜しみなくシェアしてくれるエリさん、そのエリさんを支えながら、さりげなく確実に、そして温かくワークのサポートをしてくれるエリコ、ワークの進行と同時に、ずっと全力で全員のご飯を作り続けてくれているまいきー。アトリエが私たちの魂の故郷だと思えるのは、この三人が愛と信頼をもって、そこで誠心誠意生きていてくれるからに他なりません。
今回のテクニカル講座では、ともに表現の楽しさを全身で味わった仲間たちの存在も、とても大きいものでした。何かのテーマについて追及するワークとは一味違い、純粋に表現そのものを味わうことでそれぞれの命が輝く姿は、生きる美しさそのものでした。自分がその中の一人でいられたことを、しみじみと嬉しく思います。
私は、いい所もだめな所もたくさんある自分のことを、丸ごと好きだなあと思えるようになるまで、ずいぶん時間がかかりましたが、その多くのプロセスを、このアトリエワイエスのワークショップでチャレンジできたことを、とても大切に、愛おしく思っています。
アトリエで出会えたみんな、一緒にいてくれて、本当にありがとう。