スピリチュアル(魂)について

近年、日本でもスピリチュアルという言葉がメディアでも流行し、何を意味しているのか知っている人が増えてきました。かつて、精神世界やニューエイジという言葉が生まれ、特定の人々の間でもてはやされていた時代にくらべ、それほど怪しいというイメージもなくなってきたような印象があります。いよいよ、いろんな価値観が受け入れられる社会になったのだとしたら、嬉しい変化だと思います。

ニューエイジという概念は文字どおり、新しい時代という意味なのですが、起源はヨハネ黙示録にある、神と悪魔の戦いの終焉の後に迎える光の時代という意味を含んでいます。後に、1960年代米国を中心に起ったニューエイジ運動は、物質主義から精神主義への新しい幕開けを意味づける、一種カウンターカルチャーの要素から発展したムーブメントを指します。

人が心を病んだとき、悩みを抱えたときにその支えとしたのは、その昔はアニミズム信仰でした。歴史の流れの中で、その対象はやがて宗教、心理学、ニューエイジ運動へと枝分かれしていきます。心理学にしても、生理学から精神医学そして分析心理学へと発展するなか、現代では心と魂の関係を分けることが難しいという観点から、より精神性に重視するトランスパーソナルという学派も現れました。もっと偏見の多かった昔、心理学という科学的な学問としての限界にジレンマを感じたユングは、そうとう悩んだのではないか?と想像してしまいます。

ただ、ニューエイジの構成要素となる、スピリチュアルな概念は、目に見えない世界を把握するようなもので、相互理解を得るには難しいという問題もありました。信じることと、知ることは違いますが、このスピリチュアルな世界はただ信じることに重きを置くしか関わり方がありません。みなこの荒唐無稽の世界に怖れや抵抗を感じる人が多いことも理解できるのです。 物質主義的な世界に相反するこの精神的な世界は時に、地に足が付いていないというイメージがつきまといます。たとえば、チャネリングという多次元の存在との交信や、オカルトの世界の情報は理解を超えるものがあります。ただし、理解できないことがすべて存在しないと、判断することも排他的ではないか?と感じます。

よって、ここでは、人間の意識という形の見えないものについて、取り組むときに、発生する様々な現象や可能性について扱っていきたいと思います。

アニミズムとアートセラピー

アニミズムとは、生物、無機質物に関わらず、存在するすべての物体に、魂が宿っているという概念を指します。この存在と繋がる能力をもつ人をシャーマンと呼び、この現象や存在を総合してシャーマニズムと呼ぶこともあります。

ネイティブ・アメリカンや、オーストラリアのアボリジニなどは、この文化を太古から受け継いで来ました。ネイティブアメリカンは、このアニミズム信仰のもと、生活や物事の考え方すべてを取りはからって来ました。毎日が神や精霊と共にある生活は、現代の私たちのとらえるスピリチュアルな概念とはだいぶ、かけ離れているのかもしれません。彼らは、日常の中で儀式を行うことの大切さを説いています。それは、神や精霊に対する畏敬の念をあらわし、心の病や、怖れを手放す踏み台としているような気がします。
儀式のために創られる装飾品はアートそのものです。そして、身体の五感をすべて使って、尊重の気持ちを表現します。信仰は山をも動かす、ということわざがありますが、私はこの純粋な心がすなわち魂そのものではないかと感じるのです。

過去世と魂の輪廻について

魂は肉体に宿り肉体が朽ちてもなお生き続け、その成長を休むことなく続ける存在であるそうです。魂が輪廻するという概念は仏教思想に基づいており、キリスト教などには、その思想は当てはまらないことから、過去世などのとらえ方もはじめは、西欧諸国の人々にとって、とても抵抗があったのではないか?と思います。
前世療法で有名になったブライアン・ワイス博士などは、心理学の世界において、異端のレッテルを貼られたこともありましたが、最近では至極常識的な事として受け入れられる思想となりました。魂が輪廻するかどうか? 過去世が存在するかどうかはここで議論することは避けますが、その過去世が今の人生に何かの影響を与えているとしたら、あなたはどう感じますか?
真偽はおいても、過去世というのは一説によると、無数に存在するそうです。すなわち、同じ魂が何度も転生をするという意味で、その数は数回から数百回にも及ぶそうです。もしも、そんな回数の生まれ変わりを果たしているとしたら、どの過去世が影響しているか?を特定するこは難しそうです。
最近、とくに注目を浴びている、ヒプノセラピーという現代催眠療法で、この過去世に退行する催眠のテクニックがありますが、これもその確率や正確性を疑えばきりがありません。少なくとも、私自身の体験から申し上げれば、現世の過去世との関わりの認識にはとても個人差があるということと、それを認識(情報を得る)できる能力にも個人差があるのではないかと感じています。私自身は現実の人生の中で起こる葛藤や苦悩については現世の記憶をたどることで解決できるというふうに今は考えるようになりましたが、以前はこの幻想的な考えに魅了されていました。

過去世で何かの課題をやり残した魂が、現人生において、再度チャレンジするという話はとても説得力があります。
『死後の世界が教える「人生はなんのためにあるのか」』マイケル・ニュートン著によると、心理療法家のニュートンが、退行催眠時による被験者の臨死体験に基づく様々な共時性に驚かされます。
そして、感じることは、時代や国を超えて皆共通するものがあるということです。その意味や知恵を活かすとしたら、私たちは今の人生をこれっきりと思うことなく、自我のもつ葛藤を超えて、魂の崇高な目的について考える余地があるのではないか?という意識をもたされます。

意識の捉え方一つなのですが、「一回限りの人生だから大切にする」と思えることも大切でしょうし、自分が人間というちっぽけな肉体だと認識して、苦しむのであれば、もしかしたら自分は崇高な魂の存在という捉え方をすることで勇気が沸いてくることも期待できます。
仏陀は人間の苦しみについて、幻想だと説き、現世を移ろいやすいうたかたの場であると称しているように、私たちはもう一度、この物質世界について、現実の世界と精神の世界との狭間で起こっている事柄について、意識を向けることも選択肢として残されているのではないでしょうか?

チャクラとグラウンディング

心の章でもご紹介していますが、グラウンディングとチャクラの関わりの深さについて、ここでご紹介しましょう。
人間の身体は、エネルギーレベルで分類したとき、肉体(Physical body)、およびエーテル体(Etheric body)、そして、アストラル体(Emotional body)、メンタル体(Mental body)、コーザル(元因)体(Spiritual body)というような複体に分類されます。これらの複体は、同じ空間を共有し、お互いに浸透し合って(重なり合って)いますが、それぞれの周波数(振動数)が異なるために、干渉し合うことなく存在しています。
肉体(物質的身体)とエーテル体は重なり合って存在しています。エーテル体とは「生長パターンをつくる鋳型」いわゆる魂の部分を指し、遺伝的ポテンシャルに従って成長し続けています。
古代中国医学における「経絡」や「気」、古代インド医学やヨーガにおける「チャクラ」や「ナーディ」のシステムは、肉体(物質的身体)とともにエーテル体をも統合するエネルギーのネットワークと考えられます。

「チャクラ」とはサンスクリット語で「車輪」を表す言葉で、人間の生命や肉体、精神のはたらきをコントロールする、非常に重要なエネルギーのセンターのことです。
この「チャクラ」というセンターは、外界と体内のエネルギーの交換を行い、また体内のエネルギーのめぐりの節となっています。ヨーガや瞑想、グラウンディングを行うする時には、このチャクラに意識を集中して、外界から良好なエネルギーを取り入れます。チャクラが開いて正常にはたらいていれば、人間は心も身体も健康で、エネルギーに満ちあふれ、ひらめきなど脳が活性化されますが、閉じてしまうと、病気になったり感覚が鈍くなったりすることも起こります。

身体に位置するチャクラのエネルギーセンターの数は7つとされていますが、その数の説は様々異なっています。
その位置は以下の通りです。

・第一チャクラ<基底のチャクラ>身体の会陰にあたる部分。
・第二チャクラ<仙骨のチャクラ>丹田の部分。
・第三チャクラ<太陽神経叢のチャクラ>みぞおちの部分。
・第四チャクラ<ハートのチャクラ>心臓のある部分。
・第五チャクラ<喉のチャクラ>のど仏のある部分。
・第六チャクラ<額のチャクラ>眉間の部分。
・第七チャクラ<頭頂のチャクラ>頭蓋骨上部。

それぞれの位置のチャクラには身体に密接に関係するエネルギーを司っています。グラウンディングでは、このチャクラのエネルギーを使い、意識を地上に根ざすようにイメージしていきます。人間は、心や意識に注意が向きすぎると、身体との関係が希薄になり、エーテル体のバランスが崩れてしまいます。
このことから、メンタルな問題を抱えている場合や、不安を感じるときは、とくにこのグラウンディングや瞑想を日常的に行うことをお奨めしています。

また、それぞれのチャクラにはその波動にあった色があり、その色をイメージしながらチューニングをすると効果があります。アートセラピーのワークの時に、このカラーイメージを使ったアクティビティなどを行い、身体とエネルギーの関係などについて学びます。

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