絵を描けるようになりたいとずっと思っていました。
でもその絵とは、自分以外の人にそれだと分かってもらうための絵だったのではなかったかと思います。
アトリエに向かう途中の小川の流れや一面のタンポポ畑を見ながら、普段、無意識に身体や心にすごく力が入っていたことに気づきました。すでにわたしの中でワークは始まっていたのかもしれません。
鉛筆を持つこと。
ただまっすぐ線を引くこと。
同じように写すこと。
輪郭をなぞること。
そのままをありのままに観ること。
簡単そうに思えていたことを実際やってみると、その難しさに愕然とし、いかに今まで目の前のことに向き合わず、視線を逸らしていたかを痛感しました。
どう思うかより、どう感じるか。
絵を描くことだけでなく、今までのわたしを振り返っても言えること。
それに気づきながらも、考えて描くことをやめられずに落ち込み、『ああ、やっぱり描けない!』と投げ出したくなる瞬間も正直ありました。
それが少しづつ楽しくなってきたのは、アクティブドローイング。動きを眼と手で追うことに夢中で時間を忘れるくらい夢中で描きました。
その時、その瞬間に集中するってこういうことなんだ!
出来上がった絵よりも、その過程を経験できたことに満たされました。
静かに佇むものを対象とすると、思考が働いてしまうこともあるけれど、感覚に意識を戻せるようになったことは収穫だなと思います。
絵を描きたいと思う気持ちに変わりはありません。
ただ、今では誰がどう思おうとも自分に観えているものや感じたものを、ありのままに表せるようになりたいなと思っています。
(保育士/女性)