自己イメージの本質的な部分に、男女・セクシャリテイがあります。
人が生まれ、自我が芽生えたとき、まず始めに重要だと思い込まされたのは、「自分らしさ」よりも、「女らしさ」や「男らしさ」だったのではないでしょうか?
そんなボーダーを意識しながら成長した私たちにとって、その区分けや線引きはどれくらい役にたっているのでしょう?
思えば、私がはじめて就職活動をはじめた頃、男女雇用機会均等法という法律が施行された時代でした。女性のために創られた法律でしたが、結局はその恩恵を感じることはなく、社会の中で様々な性差による葛藤を感じつつ今までの生きてきたような気がします。
私は、その区分けを良い意味で活かすには、またはそんな区分けなど関係なく生きるにはどうしたらいいか、折に触れ考えていたのだと思います。
今というこの時期に<性>という切り口でボディコミュニケーションというワークをプログラムするとき、イメージしたのは東洋思想のタオイズムと、密教の流れを組むタントラでした。
タントラとは、インド古来の聖典で、その由来は宇宙の心理を知るための叡智でもあります。同じく、タオは中国に古くから伝わる道教の中心概念であり、自然や無為と同義語であり、陰陽の思想で知られています。
タオやタントラはそれぞれ概念は違いますが、本質的な要素は共通するものが多いのです。もしかしたら、タオイズムは仏教から、タントラは密教という流れの中で、繋がっている同じ因子なのではないか?と想像してしまうのです。
そして、一方でタントラは性的なシンボルとして解釈された歴史をもっています。もともとは、生の営みを表すセックスと、その終わりである死を体験する行を含むことから、いつしかセクシャルなイメージがつきまとうようになりました。
しかし、本来の意味はもっと壮大でかつすべてを包括するエネルギーの概念そのものなのです。
ボディコミュニケーションでは、自己の性を見つめるために、人間という宇宙の中に存在するエネルギーについて学ぶことがテーマでした。
私たち人間は一つの性を持ち生まれてきますが、実は男性と女性の二つの要素を併せ持つ存在です。この対立する二極を持つ意味を知る秘密がタントラの教えの中にあるのです。
この男と女という二極は様々なメタファーになっています。
たとえばユングが自身の分析学の中で提唱した有名な概念に、アーキタイプ(元型)があります。それらは、人の心の中に棲む人間像のパターンを表したもので、様々な種類に分類されます。たとえば、子供から老人までいくつかのイメージに別れ、そのなかに男性、女性の象徴として、アニムスとアニマがあります。
人間は心の中にこの両極の要素をあわせ持っているという概念です。
女であっても、男の要素を持ち、男であっても、女の要素を持つという考えです。
それをあまりに単純にとらえると、私たちはまるで両性具有のようですが、
それは一概に、肉体レベルの話ではなく、単にそれらをエネルギーとして捉えてみると、これがとてもしっくり納得できるのです。
男性性、女性性とは、単なるエネルギーに過ぎません。
単なるどころか、これは宇宙の根源的な正と負の両極のエネルギーの象徴でもあるのです。
タオイズムで言うところの、陰と陽の関係性。
それは宇宙を意味しています。
この正と負(プラスとマイナス)のエネルギーがうまく循環するとき、物事は良い流れを辿るのです。これと同じく、私たち人間はそれぞれのエネルギーを認識し、うまく使い分けたとき、バランスがとれてくる存在なのです。
そんな神話のようなお話を、みなさんに実感していただくために、ボディワークショップでは、エネルギーの活性化を助けるボディワークを沢山行いました。
ただ、15分身体を動かすだけで、たった1枚の絵を描くだけで、身体から湯気がでるくらい汗をかくような時間でした。
本能的な波動とは、それは力、エネルギー体そのもの。
それがイメージの中でつぎつぎとベールをはがされ、はっきりと見えてくるような体験でした。
私たちは女性性や男性性という、在りのままのエネルギーを使うことを恐れ、観念レベルで抑圧し、または誇張したことにより、バランスを失いながら生きていたのです。
それでは、もったいない!
エネルギーをただ解放し、ただ受け取ることを楽しむ彼らの姿を見てあらためて実感することができた、なんともパワフルな2日間でした。
別名「セクシャルダイナマイト・ワークショップ」という、名誉あるネーミングをいただきありがとうございます。(笑)
そしてみなさん、本当にお疲れ様でした。
次回はボディコミュニケーション第二弾「ボディレスキュー・身体の声を聴け!」です。病や慢性疾患の起こる仕組みやその関わりを知り、健康を取り戻すスキルを学びます。
どうぞ、お楽しみに!
吉田エリ拝