癒しの水〜軽井沢アトリエにて〜

今年の夏もいつものように、ワークショップ三昧の時間をすごすことができました。
ここ北軽井沢でも8月の夏日には、ふとクーラーが恋しくなる日が数日あるのですが、今年は例年になく肌寒く、夜にはストーブをつけてしまうほど。
それでも、満員御礼の人で賑わうアトリエは熱気に溢れる夏祭りのようなエネルギーに満ちています。お天気には恵まれませんでしたが、人には恵まれたなぁ…と感じる時間でした。

表現アートセラピー画像2この場所で初めて出会い、皆あっという間に打ち解けてしまいます。
そんな気楽な空間の中だからでしょうか、皆ワークをのびのびと集中して取り組んでいる様子で、泣いたり笑ったりが忙しいめまぐるしさは、お天気そのものです。

今年は、少し足を伸ばして、水のある場所まで行ってみました。
いつもなら、車の定員があって、行きたくてもなかなかスケジュールに組み込めませんでしたが、今年は幸い、車での参加者の人の協力をいただき、念願の滝へネイチャーワークに出かけました。

滝がある場所は平地より、うんと気温が低いのです。
暑い日なら、天然のクーラーの恩恵に預かるところですが、今年は防寒対策をしながら出かけました。

表現アートセラピー画像2久しぶりの川はやっぱり気持良く、ただその空間にいるだけで、何かがほどけていくようです。
日本では、イヤなことがあったり、気になることを解放するとき、「水に流す」という表現をつかいます。

その言葉どおり、目の前の河の流れを見つめていると、なんだか問題にしがみついていること自体、意味がないような気持になります。

問題は、それ自体がまとわりついてやっかいなもの、という印象がありますが、実際は自分自身が握りしめているというのが本当なのでしょう。事態に圧倒されている気持は、まるで被害者のようで、何も手立てが無いような気分になるのですが「事態そのものを自分が引き寄せているのだ」と、一旦視点を変えてみると、「なーんだ」という気持が沸いてくるから不思議です。

困っているときに人間は「藁をも掴む」心境になりますが、あらためて観れば、藁のような儚いものを求め掴んでいる自分に気づかされます。藁だと気づけば、ただそれを投げ捨てればいいのだけど、掴んでいるものが藁だと思えない時、手放すことに抵抗がある人は、その抵抗感を手放せばよいのです。

表現アートセラピー画像3川の流れに託すように…。
流れは心のこだわりや、葛藤を洗い流してくれるように、そこに在ります。
その流れをただ無心に眺めていると、なんとなく手放したくなるのです。

自然の懐の大きさ。
流れは、流す物を選びません。ただ、流していくのです。
あんなこだわりも、こんな葛藤も、あらゆる抵抗も。
自然とは大したものだ、と改めて感じます。

実は、流れて行くのは自分自身なのです。
何かに捕らわれ、気にして、硬直している心は、川の一所にしがみついて
いる自分そのものです。
流れに身をゆだね、ただ流れることを楽しむことができたら、人生の達人になっ
ていることでしょう。

表現アートセラピー画像2そんな想像をしながら、私も沢山の思いを川に流してみました。
手放したい思いを乗せた木の葉は、くるくるとしばらく足下の流れに巻かれ、(その姿を見ながら、ぐるぐるしている自分を観ているようで可笑しくもあり)
やがて、川下に向かって、サーッと流れていきました。
その姿を見送るとき、心の中のものが一つリリースできたような安堵感で満たされました。

想えば、此処にはこうして川の流れがあり、鎌倉に帰ると、大いなる海も待ってくれています。
沢山の水が側にある処に暮らせる豊かさを忘れていたことに気づかされます。
場所の持つエネルギーは大きく、毎年日本各地からワークを体験するために訪れてくれる人達にとっても、癒しの機会となっていることを実感します。

皆一人一人が、自然の中で自分の深い部分と向き合い、本当の自分をみつけていくための時間を過ごしては、また日常へと戻っていきます。
訪れたときと違うのは、新しい仲間との絆を持っていること。
沢山のものを手放した後に、その絆を手にすることができたのでしょう。
何時もにも増して、実感した今年のテクニカル講座&リリースワークショップでした。

表現アートセラピー画像5そして、この夏最後の講座は、久々のクリエイティブ・ドローイング。
参加者にとっても、私にとっても、5日間通して、ただひたすらドローイングするこのワークは、体力的にチャレンジなのものです。

Drawing in the rain.

そんな言葉が私の頭にうかぶほど講座中朝から夜まで雨が続きましたが、かえって絵を描くことに集中するためにはもってこいのシチュエーションなのだと思えました。
5日間、淡々と鉛筆を握り、絵を描くだけの時間なのですが、このプロセスがまさにアートセラピーの要素を含んでいるのだと実感します。

 表現アートセラピー画像6皆、絵を描きながら、自分と対話しているのです。
最終ステップでは、文字通り「自画像」という、自分と向き合う課題に取り組みました。何が本当の自分のなのか、答えを模索しては、リリースする時を過ごしたことでしょう。絵とは、完成させるためにあるのではなく、そのプロセスに今、ここといかに繋がるかが大切なのだと思えます。

水にはそれ事態が癒し、浄化する本質があります。ここでも、水が一役買ってくれました。
たくさんの雨は、みんなの思いを浄化するために降りつづき、最終日の朝にようやくお日様が顔を出し、浅間山や労をねぎらってくれているようでした。

 
今年の夏も、素敵な夏でした。
集ってくださった皆さん、本当にありがとう!
スタッフ一同、心からの愛と感謝をこめて

■ Creative Drawing WS 生徒作品


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