それは、毎年のように、遠く離れた所から集まってきてくださった、参加者の人達との出会いや、ワークで体験した濃密な時間の余韻に浸れるから…。
今年も、初めて出会う人達が集って、コースがはじまりました。
普段は梅雨も明けたこの時期、よほどのことがないと、雨が続くことなどありませんでしたが、今年はどうしたことでしょう?
初日からそれこそ4日目まで、雨続きだったのです。
さすがに3日目には、私もかなりへこみました。日本人はお天気に恵まれると「その人の行いが良い」という言い伝えが頭を巡ります。しかしねえ、人数も多いから、誰の行いが悪いのか解らない?(苦笑)いや、やはり主催者たる私の行いだと、反省し受け入れる事に…。
でも、このワークを楽しみに遠くからわざわざ参加してくれた人のことを思うとやはり、落ち込んでしまうところですが、幸いにもそうならずに居られたのは、今回のメンバーの結束力があったからでした。
初日から皆、古くからの親しい友人が集ったように、打ち解けたムード。食事の時間はまるで宴会のようです。笑 「こんなにみんな仲良くて、ワークできるんでしょうか?」というような心配の声が聴かれるほど。そんな心配とは裏腹に、ワークの時間は皆、これ以上ないほど真剣なのです。今度は「こんなに深く入ってしまったら、ご飯が食べられないのでは…」という心配へと変化。笑
しかし、彼らはまったく何事も無かったように食事を楽しんでいます。こんなに息の合うグループも珍しいものです。その微笑ましい様子に、うっとうしい雨もだんだんと気にならなくなっていました。外の広いデッキスペースが使えない中、屋内の狭いスペースをなんとかやりくりしながら、最終日になりました。
普段はデッキと屋内のアトリエスペースの二つの場所でドラマを創るのですが、今回は雨を見越して、アトリエのスペースを使って、全員のワークをすることにしていました。ところが最終日は朝から晴れて、さてどうしようか?という迷いが出てきました。
合同のドラマワークは時間制限もあるのですが、みんなは『時間制限があってもいいので一緒がいい…』。その声に後押しされて合同ワークを決行することに…。
そして、最後は本当にみんなが一つになれるという、すばらしい体験を味わう事が出来ました。皆、それぞれのドラマを堪能し、そこから学び、体験することで深い気づきを得ることができたのです。
演じる人も、それを見守る人も皆、涙涙でした。ようやく、雨続きの理由が腑に落ちてきました。もしかしたら、みんなが一緒にワークできるように、お天気が協力してくれたのかもしれません…。
そして、最後のシェアのとき、一人の参加者の人がこうつぶやきました。
「4日間、お天気に恵まれ、とても楽しかった…」
そんな風に、不思議と捉えられるような夏空が広がるエンディングでした。これ以上ないほど仲良しの魂を持つ人達が集まったからでしょう…、そんな彼らも、別れを惜しみながら、日本各地に広がって、それぞれの帰路のつきました。
この仕事をしていて、こんな人との出会いほどすばらしいものはない、と痛感します。
「この楽しさがあれば、ワークの準備の苦労も気にならないね…」とスタッフの皆が思うのです。
この夏、出会えた人すべてに心から感謝と愛を込めて…。