受け取ること 与えること

5月最後の五月雨の日曜日。
インターン生による、ワークショップが開催されました。

インターン生とは、ここアトリエワイエスの表現アートを通して、ファシリテーターの学びを継続している人達のことです。

皆、ワークの提供ばかりではなく、人間成長のために本当に熱心に取り組む仲間達です。そんな彼らが、実践の場として、ワークショップのアクティビティを提供する機会を体験しました。今回提供をしたのは3人のインターン生で、皆準備をするプロセスの間、沢山の気づきやブレークスルーがあったようです。提供するという課題がまるで目の前に立ちはだかる壁のように感じていたそうです。

表現アートセラピー画像2そんな経験の中、お互いの存在を気にかけながら、励まし合い、尊重し合いながら、個性を失わないワークを作ることに邁進していました。信頼が大きな希望になった、そう誰もが感じながら…。沢山のディスカッションの中から「受容すること、受け取ること」というテーマも見つけ出しました。ファシリテーターは、ワークの場を作りながら、自らが器のような存在、つまり受容する役割を担っています。そんな意味で、「受容」はぴったりのテーマだと感じました。

「ワークを楽しみに来てくださる参加者のために、何ができるか?」という問いに、それぞれが答えを持ち寄って来ました。

まず、ワークというのは、単にプレゼンテーションのような見せるものとして在るのではなく、参加者の人との共同創造であると私は思っています。ワークはお料理に似ていて、作り手の独りよがりで成り立つものではありません。やはり、それを楽しみ味わってくださる人がいるからこそ、成り立つものなのです。

表現アートセラピー画像3もちろん、提供したものを美味しく味わってもらえたらうれしいでしょう。
しかし、作り手の手を離れたら、味わう人の世界へとエネルギーは流れて行くだけ。そこで起こったこと、たとえば味わったものが美味しかったとしたら、それは作り手の成果ではなく、味わった人の成果であるということが、ワークショップ体験の神髄でもあるのです。

私達、提供者ができることは、エネルギーの流れる場を作ることだけです。つまり、<器=受容>のエネルギーそのものになることが大切なのですね。
エネルギーが満たされる場はまるで静かな湖のようです。そこに、一つ小石を投げ込みます。それが、提供するワークのテーマとなります。
そして、水面に広がった波動を感じる人達の中で、何か違ったプロセスが生まれます。そこで何が起こるかは予想ができません。

表現アートセラピー画像4今回のワークショップに集まってくださった人たちは、この機会をとても有意義に過ごしていました。皆、それぞれの問題を持ち寄り、この場で意識をシフトさせていくのを楽しむ余裕を感じさせるほど。私自身も、参加者としてワークを体験する中で、驚くぐらい、まるで目から鱗が何枚も落ちていくような体験をしたのです。
自分が本当に何を求めているのか?何をしたいのか?意識の中で必死に考えても、納得する答えがでなくても、ワークをとおして身体がちゃんと応えてくれるのです。

それは、「降りてくる」感覚なのです。

ワークショップを何度か経験してくれた人なら、きっとこの「降りてくる」感覚を知っていることでしょう。
そうすると、一瞬で身体の緊張感が和らぎます。重い荷物をほどくような、立ちはだかっていた壁が崩落するような、しがみついていたものが、ただのゴミ箱だったことに気づくような、あっけなさを体験するのです。

久々に丸一日ワーク三昧の時間を体験することができました!
楽しかったなあ…。最後は本当、皆和気藹々のムードでワークショップが終了しました。
参加してくださった人達が皆一様に、降りてきたギフトを受け取ってくれていたことが、インターン生達にとって、最高のギフトだったのではないでしょうか?

表現アートセラピー画像7インターンの皆にとって、たった一日の時間でしたが、どれくらい濃い体験だったかわかりません。そして、ワークを受ける楽しさから、提供する楽しさの醍醐味を味わったことでしょう。
成長の波の浮き沈みに負けずに、ひたすら直感に従うようにしながら学び続けてきた自分達へのご褒美のような時間だったのでは?と、私には思えます。

私もまた同じように、彼らを通して驚くほど沢山の学びや成長を果たすことができたことは、思いの外幸せなことでした。
教える人は、教わる人がいてくれなければ存在できない。
受けとってくれる人がいるから、与える人が存在できるのです。

私たちは、皆繋がって居ます。どちらが偉くもなく、どちが得するわけでもなく、そのどちらの立場も同じように体験する機会だけが在るのです。
インターン生達も同じように、またこれから沢山の人と出会い、大切なものを伝え、受け取っていくのでしょう。

表現アートセラピー画像6みんなぜひ、自分が心から大切だと感じ、欲するものの種を渡していってくださいね。
沢山の素晴らしい出会い、機会を楽しみながら…。

インターンの皆さん、そして学ぶことを継続してくださっている仲間達、
お疲れ様でした!すばらしい時間をありがとう。

今回、この貴重な機会に時間を提供してくださった参加者の皆様。
本当にありがとうございました!

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