アートセラピーのワークショップに参加したことを友達に話し、どうだった?と聞かれた時、改めて言語化するのが難しくて、最初に思いついたことばは、It felt like going home. だった。
ずっと、ずっと追い求めていた感覚が、初めて会った人達と数日一緒に過ごして取り戻せるとは思っていなかった。
最初に合宿所に着いた時から、過去に参加した人は周りで「ただいま」と口にしていて、スタッフの方々はあたりまえのように「おかえり」って迎え入れていた。初めて参加した自分にも、同じように声をかけてくれた。
初めは少し戸惑いながらも、自然体でそのコミュニティと共同生活の居心地の良さに入り込むことに、抵抗を感じることはなかった。
その空気感が自分にとってはとても大事だった。これまで、世界中のどこに行っても、何をしても、最終的に行き詰まって、受け入れてもらえない感覚に陥っていて、苦しかった。
その悩みも、苦しみも、あらゆる感情も、このワークショップではありのままでさらけだしても、否定されなかったし、向き合うサポートをしてくれた。
そしてそれを自分で向き合わせて放っておくのではなく、気持ちをお互いにシェアし、支え合い、讃えることを経験させてくれた。それが何よりも嬉しかった。
ワークショップの内容としては、これまで興味があったがなかなか自分ではできないような、絵具や大きな紙を使った作業や、自分ではあまり発想がなかったような声出しの仕方(ボイスワーク)や自由に体を動かすもの(ボディワーク)など、様々で、飽きることはなかった。
1日1日が右脳を多方面から刺激するようなアクティビティで詰まっていて、それでいて全部をこなせるようになっていた。全体を通して、とても充実した有意義な時間だった。
私はアートについては初心者なので、自分の深い内面を表現することはすぐにはできないと思っていたが、直感で表現していいと何度も言われ、作業をするうちに、自分の感情にアクセスできていたように思う。人の作品を見ると自分の作ること、やっていることは幼稚に見えることもあったが、他の人の表現にインスピレーションを受けること自体は糧になったし、大事なのは見た目じゃなくて、自分が感じることを表現するプロセスで得られるものがあることを感覚的に体験できたのは大きい。
この5日間で触れることができた、ことば以上の大きなエネルギーを一人で発揮していくことはまだできないけれど、自分とつながる感覚を少しでも作れたこと、ありのままの自分でいていいと認めてもらえる空間にいられたことはかけがえのない経験となった。
これまで何年も抑うつを抱えているが、心の奥底の何かにアクセスして、感覚が蘇る瞬間がワークショップからの帰り道にあった。
つながった感覚は、一度味わえばまた出会うことができるらしい。いつかまたその気持ちに出会えることを信じて、次の一歩を踏み出したいと思う。