285

自立している人は、自分の役割を理解しています。自分の役割(能力や資質)を理解していると、誰かと立場を奪いあうことがなくなります。パワーとは、内なる資源であると気づいているからです。

そのような人達は、力を与え合い、協働することを喜びます。そこには、葛藤や分裂はありません。一見、単なる理想のように聞こえるかもしれませんが、人間にとって、本来、それはとても自然な在り方なのです。

つまり、人間は自然な在り方を見失い、自分で立つことを疑ってしまったことから、世界は混乱をはじめたのでしょう。

284

自立して生きるということは、人と関わらないという意味ではありません。独立し、自立的に生きる人は、むしろ、いろんな人と関わることができる人です。また、自分独りで生きることなど、人間には不可能だということを賢明に理解している人でもあります。そのような自立的な人は、人と協力し調和することを求めます。彼らが作ったコミュニティは、循環する社会を作っていきます。
それが、人間の求める世界なのです。

283

信じられる人を探して彷徨うのではなく、褒めてくれる人や認めてくれる人を求めるのではなく、もっと自分を求めてください。他の誰かではなく、自分自身を。自分にもっと頼ってください。自分ほど、自分のことを考えてくれる人など何所にいるのでしょう?

あなたは、杖を持って歩きたいですか?
車いすに頼って生きたいでしょうか?

もちろん、違いますよね?
でも、もしあなたがいつも人を求めているのなら(自分で生きることに自信を失っているのなら)、あなたは杖に頼ることが幸せなのだと思い込んでいるのと同じなのです。

282

あらゆる希望を捨てて、自暴自棄になっていると、いろんなことに落胆することがなくなります。それはそれで、失望しないという意味では楽なので、そんな風なネガティブ思考を貫く人が多いものです。

ただし、その分裂したエネルギーを持つ意識は、自らの経験する現実をどこまでも厳しいものに変換していくということに気がつく人は少ないようです。いったん、物事を疑い、否定し生きる癖がついてしまうと、無意識に、幸せに対する興味を失ってしまいます。やがて、その人は否定的な経験でないと満足できない意識に捕らわれていくのです。興味の対象も、世界の悲劇的なニュースや事件であり、不条理な政治や価値観が合わない人や不親切な人に対する不満と愚痴をこぼすことが唯一の表現となります。

もしも、あなたがそんな状態だったら、自分を変えようと自分に挑戦状をたたきつけるのではなく、自分を見捨てるのを止めて、自分と和解すること(自分を中立的に見ること)から始めてください。

281

自分が混乱したり、軸を見失っているからと言って、自分に価値が無かったり、無能だという思い込みを持つ必要はありません。ただ、バランスを失っているだけなのですから。その「状態」に否定的な意味付けをしたところで、混乱は収まりません。また、「なぜ、バランスを崩したのか?」その理由を考えていても、時間だけが過ぎていくだけです。

転んだとしたら、それはただ転んだにすぎません。躓いた穴を探して、次から気をつけないと…と用心することは役立つかもしれませんが、どうぞもっと前向きになって、進みたい方向を向いて立ち上がってください。ポジティブになろう…という努力さえ必要ありません。ただ、立ち上がり埃をはらい、前に進むだけです。

280

自分の軸を持たない人は、自分で立つことに大きな不安を感じます。自分の軸を見失っている状態は、もうどうやってグラウンディングしたらいいのか解らないという混乱を経験しているからです。混乱のまま、誰かにしがみつきたくなるでしょう。自分で考え行動することなど不可能だと思え、誰かに支持を扇ぎたくなるでしょう。

もしもあなたがそんな状態だったら、目を閉じて混乱をなんとかしようとおもわず、せっかく身体があるのですから、身体と地球の重力に手伝ってもらって、まっすぐに立つことから始めましょう。
身体さえまっすぐに立ち、目をしっかりと見開き、前を見ることができれば、少なくても身体だけは「自立」させることができるのです。