東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
災害の状況が日を追うごとに、甚大な被害の状況が明らかになってきました。連日テレビでは、被害状況と共に、現在も余談を許さない同時進行する原発事故の実態について報道を流しています。
少しでも正確な情報を求めて、多くの人はメディアの情報にすがりついているのですが、テレビから流れてくるのは災害時の惨状や、混乱を伝える映像ばかりです。今回の大地震がかつての災害と違う点は、今もなお続く津波への警戒と、原発事故による放射能汚染と、停電への不安感でしょう。誰もが何を信頼したら良いか不信のまま、日々を過ごしているような印象です。
私が棲むここ鎌倉のアトリエの目の前には海が広がっており、津波に対する警戒は怠れません。一時は周辺の住民に避難命令が下ったこともあり、落ち着かない日々を過ごしています。
このまま、混乱する情勢の中、心を閉ざしてしまうと、いつのまにか気持も重く暗く沈んでしまいそうです。 もし、被災地の人々に対して、何か手助けをしたいと願ったとしても、私達自身が元気を無くしてしまったら、力になることは難しいでしょう。
まったく希望を持てない状況の中で、どうやったら人間は気持を保って居られるのでしょうか?
大切なことは、混乱した情報に動揺したまま、思考したり行動したりしないことです。
不安から選択する行動は、さらに心配な事態を招いてしまうものなのです。
このような非日常的な状況の中、誰しも「足りない」という意識に陥り、守りの思考が働くものです。首都圏では、日用品や燃料を求めて長い列ができていました。
もちろん、命に関わるような情報への警戒や事態の配備に万全を期することは何よりも大切なのですが、現状から未来を悲観的に予想して必要以上の心配をしてしまっては、精神的な安定や希望に繋がることは難くなってしまいます。
もしも、未来に安心や希望を求めるとしたら、まず現実の事態を確認しながらも、そこに明るい要素を見いだしていく必要があります。
以前読んだ「変えれば、変わる」(ニール・ドナルド・ウォルシュ著)の中にこんな一説がありました。
すべての変化は、良いほうへの変化である。
悪い方への変化などというものは存在しない。
たとえば、今回の災害は突然の大きな変化と言えるでしょう。
しかしこの変化が良い方に起こるとは、とうてい捉えられないネガティブな状況として目に映るはずです。
そして、そのように状況を単に「悪い出来事」と捉えることで、気持は悲観的に傾倒し、被害を受けた人々は非力な被害者として、抗えるはずもない大自然を加害者に仕立てるしかありません。
このネガティブスパイラルを降下して行かないために、先の言葉を思い出してみてください。
変化を単なるエネルギーの変容と捉え、事態に肯定的な意味付けをすることで、見える景色が変わってきます。
どうか、勇気を持って、この現実に明るい要素を見いだしてください。
ほんの些細なことからでかまいません。
美味しいお茶を飲むこと、スローライフ(節電生活)の楽しさをみつけること、復興に関する希望について考えること、何でもかまいません。
無論、現在被災地にいる人々には不可能に思える提案かもしれませんが、それでもこの考え方には、例外はありません。どんな状況下でも、光を見いだすことは不可能ではありません。
人間を幸せにするのも、不幸にするのも、起きる出来事ではなく、意識の持ち方だけが影響を与えているのです。
恐れではなく、勇気を選択してください。
絶望的な要素を数えるのではなく、希望や可能性について思いを馳せてみてください。
そして、それを身近な人とシェアしてください。
たとえ、今はまだ被災地の人の支援ができなくても、「今、ここ」で、自分達が出来ることがあるのです。それを探す楽しみを見つけてください。
生活の中で出来ることを試してみることが希望へと繋がって行きます。
不思議なもので、自分達の生活を守ることに明け暮れているよりも、自分が何を提供できるか?という事にフォーカスしているほうが、力が沸くのを感じることができます。
「足りない」という恐れを感じているときこそ、敢えて自分の中に何か与えるものはないか?という思いを巡らせてみてください。
だんだんと、足りない意識は薄れてきます。
同じ事態の中で、自分の考え方、観方が変わってきます。
その時、その変化は大きく良い方向へと風向きを変えるのです。
悲しい気持のとき、暗くふさぎ込んだ気持を、真逆の楽しい気持にすげ替えることは、簡単ではないはずです。しかし、不安なとき、恐れを感じているとき、力不足を感じているときこそ、「勇気」に意識を向けてみてください。
「勇気」という意識は、不思議と絶望の中に光って在るものなのです。
それは欺瞞ではなく、絶望の淵を照らします。
今回の災害の中、日本人の暴動にも至らない冷静で倫理観に富む行動が、世界中の人達から驚きの目で受け止められているそうです。これは、多分日本人の中に在る<和>を大切にする国民性のおかげでしょう。
私達は、このような未曾有の変化の中、非常に肯定的な行動を選択し、調和という経験をする機会を得たことになります。
そして、さらにこの変化を活かすことで、かつて無い大きな飛躍に繋げる類を見ないチャンスの中に居るのです。
被災地の状況を見守る立場に居る私達が、自分の気持ちを明るく、強く持つことが、今後の希望に続く一筋の道になると信じています。
現時点で可能な支援として、今後開催されるワークショップの収益金の一部を被災地への義援金として寄付していくことにしました。
現地への支援に関しては、未だ方法を見いだせない状況ですが、何かアクションを起こせる機会を探しているところです。その時には、皆様のご協力を仰ぐことになるかもしれませんので、どうぞよろしくお願いします。
愛と希望は私達を活かしている大切な本質です。
すべての人がこの体験の中から、最良の自分自身を表現していけることを心から祈っています。
愛と共に
吉田エリ