乾期を迎えているはずなのに、アマゾンの森は今日も雨です。
乾かないままの水着はひんやりとして鳥肌が立ち、さすがにフラワーバス(浄化の水浴)をやめようかと思うほど。そんなヤワなことを考えるのは、私ぐらいかと思えば、皆同じようにしかめっ面で、覚悟しながらバケツの水を被っています。その姿は、まるで最近流行っているアイスバケツを被る有名人の様で、笑えます。
そんな苦行も、あと数日。この期間にどれだけの体験ができるのか、誰もが神経を集中しているようです。その夜は、怖れというよりも、それを越えていく期待で胸がいっぱいになっている自分がいました。
セレモニーの夜、いつもよりも大きなショットグラスにアヤワスカの液体がなみなにと注がれると、私はマエストラの目をまっすぐに見つめ、一気に飲み干しました。
メディスンの苦みと、きつい匂いが身体全体に拡がります。席に戻り、静かに目を閉じていると、どうして此処に来たのか、なぜこんなことをしているのか、そんなことを考えることも無くなっていました。ただ、今ここに集中し、出来る事をやるしかありません。
思えば、そうやって人生など過ぎていくのでしょう。
私は、自分の人生が終わる時、今夜のことをどんな風に思い出すのだろう…。そんな雑念が泡のように湧いてはやがて消えて行きます。そんなことは、どうでもよいことなのだというように…。