目醒める種

世界でコロナ禍が始まった2020年の冬至の日。
占星学では、地の時代から風の時代「水瓶座の時代」へと移り変わったという。

「風の時代」とは、国家や組織の形態や経済の在り方など、既存のルールが変化し、新しいシステムが生まれる時期を指す。
「常識」や「伝統」が覆され、それまで当たり前だと思い込んでいたことに疑問が沸く時がやって来るのだ。

事実、パンデミックにより平時の日常が失われ、人々の意識や「幸せとは何か?」という、問いかけ自体が変わってしまった。
地球は、人類は、これからどこに向かって行くのだろう?
人間は深い眠りの中にあるのだという、釈迦の説法を知っている人は多い。
されど、毎朝目覚めたとたん、思考は今日を生きのびる為、忙しく動きまわっている。
これ以上、何を信じたら、知ったら良いのだろう?…と、誰もが途方にくれているのではないか?

大人になるにつれ、「自分はもしかしたら、本当の生きがいを見つけられていないのかもしれない…」「大切なことを、観ていなかったのかもしれない…」と不審に思うことが増えたような気がする。
果たしていつまで私達は迷い、眠りこけていられるのだろう?

新しい朝(風の時代)を迎え、地球が目醒めたとしたら、起き上がった地球の鼓動に揺さぶられれば、人間たちは、このまま心地よく眠り続けることは難しそうだ。
確かに、眠りは心地良いから、目覚まし時計の音は耳障りだ。しかし、時計を止めて眠りこけることは得策ではないこともどこかで知っている。

新型コロナによるパンデミックは、地球上の人類に、大きな警鐘を鳴らした。
私たちは、病気を恐れたり、どう生き延びるかという問いの答えを政府に求めるより先に、目醒めることが先決なのではないか?

大切なことが、解らなくなってしまった今、多くの人が、何を手がかりに生きたら良いのか模索している。
その答えを、他者にではなく自分に問いかける時代が、今まさに始まろうとしているのだ。

長年の友人でもある、サンデールームの店主星野充子さんは、常に何かを模索している人だ。
サンデールームは、前橋にあるオーガニックの食品や無農薬の野菜を販売する食材店であるが、この店が単なる自然食や野菜を売るためだけのお店ではないことは、彼女と話をしていたらすぐにわかった。

彼女の興味の先は、食育や農業だけに留まらず、多岐にわたっている。
「自然な食とは?」「どのように食べるのか?」
「信頼ある生産者とどのように繋がるか?」「人間と自然が共生する世界はあるのか…?」

素朴なひらめきが数々の<問い>となって、今のサンデールームを牽引する原動力になっているのだろう。
彼女にとっては、知らないことすべてが「興味の的」なのかもしれない。
その知りたいという純粋な欲求が、サンデールームという不思議な発信力を持った魅力ある店づくりへと繋がっている。

私も、アートと心理という視点から、なぜ人は眠っているのか? どうしたら目醒められるのか?という問いを持ち続けてきた人間である。
その問いかけは、眠っている自分へ、覚醒した未来の自分からの目覚まし時計の合図のようなものだと思う。

「蒔いた種は刈り取る」という聖句があるが、私たちはまだその種を目醒めさせてもいない。
これからやってくる未来に、何を収穫したいのか? 模索しながら私たちは、自分の種を目醒めた地球の大地に蒔く時がやって来ているような気がする。

そんな私達は、たまに逢うと、お互いの模索について雑談をしながら情報を交換するのが常だったが、その暗中模索の中から、絵の展示と「お話会」の企画が生まれた。

サンデールームの空間に展示させていただくことになった壁画は、もともと今年の春に、縁があった関西のスペースに献上するために制作したものだったが、ギャラリーの常設期間が終了したことにより前橋まで旅して来ることになった。
注目を望む龍は、人目に触れられず意気消沈して眠ってしまったが、目覚める場所をさがし求め、彷徨いながらこの地に舞い降りたのだった。

龍と命の潮流をテーマにした本作は、作者である私の意図などお構いなしで、自由奔放な力を持っているようだ。
もはや、この作品は私のものという感覚は消え、一個の個性をもった存在に思える。

数秘術では、「11」という数字が天と地をつなぐ意味があることから
「11月11日に絵のお披露目をしたらどうか」という、充子さんの提案をいただいた。
龍は天と地を繋ぐ神官のような役目を担っているというので、相応しい日だといえる。

西の地で生まれ、一旦眠りに入った龍が再び東の地で目醒めると思うと心が躍った。この絵を手放した5月の時には、こんな展開は予想もしていなかったのだから…。
これも風の時代がもたらした「追い風」なのかもしれない。

イベントのお知らせ

来る11月11日、サンデールームのイベントスペースにて、作品が生まれることになった経緯や、地球の復活の鍵を持つ龍の物語を、お話させていただくことになりました。

この特別な時節、目醒めたいと願う種を持つ人たちと会えることを楽しみにしています。

【会場】サンデールーム 2階・・・サロン
【日時】2021年11月11日 14:00-16:00
【会費】無料
【イベント詳細】詳細はサンデールームのイベントページでご確認ください。

イベントは無事終了いたしました。
youtubeで配信中しています。ご覧ください。

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