参加者の声【表現アートセラピーワークショップに参加して(2002)】

自分のやりたかったこと、について模索をはじめていた。
表現アートセラピーを受けることになったきっかけは、友人から誘われた1日体験コース。本当に何年ぶりかで、クレヨンやパステルの色にまみれ、絵を描いた。
自分にもこんな感じの物が作れるんだぁ?という喜びがこの世界にとけ込む最初の気持ちだった。
与えられたテーマにそって絵を描く。二人一組で体の動きに会わせた絵を描くことも。粘土を使って自分の「今」を表現する。
絵に音をつけてみる。いろんなワークがすべて新鮮かつ、難題。
それは、自分の感情をすくい上げることの難しさ。自分の感情をどうやって表現するか?の「壁」との葛藤。
試行錯誤を繰り返し、最近ようやく自分の本質に触れることができるようになった気がする。

過去のプログラムを何回か経験し、自分なりに次なるステージへすすむ準備ができた。
そこで経験した数々の驚き。

あるワークでのテーマは「秘密」について。
それまで自分では秘密などないと思っていた。何か起こるときは誰かと一緒にいることが多かったりするし、第一、自分ひとりの胸に閉まっておける性分ではない。となると、残るは自分の感情かな?嫉妬、怒りであったり、欲望等。
人前で出したら、嫌われること間違い無しの醜い感情。それを自分自身の中に封じ込めているって感じを絵にしてみた。

その秘密の絵を見ながら、次なるワークに取り組む。
絵をもとにペアになって、禅問答のようなやりとりを繰り返すのだが、何度となく繰り返された質問の1つが、「貴方は何を守りたいですか?」だった。
苦し紛れに引き出された私の答えは、「自分を愛すること、自分の正直な感情」というものだった。
「私がこんなことを守りたかったのか!」
この事に気づいたのは、まったく意外であり新鮮な驚きだった。

「時」というものに何か意味があるのか知らないが、それから後、突然自分のために使える時間が膨大に出来た。そこで常日頃からの楽しみだった様々な本を読んだり、自分と向き合わなければならない状態に置かれる機会に恵まれたのだ。

「私はぼんやりと、人と関わることが自分にとって必要なのではないか?」と感じはじめていた。
そんなおり、 最近友人からのメールに、
「貴方が“人と関わっていく分野に進んでいくことになりそうだ”と話していたその気持ちが“確信になるといいですね。」
とあり、暖かく見守られている感覚を覚え、嬉しくなった。 表現アートセラピーやいろいろな経験を経て、やっとここまで辿り着いたという気持ちになった。

もちろん、ここが最終点ではなくって、始まりなのだ。これからの道でどんな景色が待ち受けているのかは計りしれないが、振り返ると、色々なことが偶然であれ、必然であれ、折り重なって今に繋がっている。

改めてセラピーに参加してから、いろんなことに気が付いた。
過去の否定的な出来事が発端となり、負の感情等が創り出され、それが現在にまで存在していたこと。そして、そのことをありのまま受け止め、認めて癒す。
さらには、今後はこう変化(成りたい、あるいは 行きたい)したいという新たなる目標を創り出すワークがあり、なんとかプラスに転換できて来たように思える。

思えば日常生活の中で、自分の感情に気が付くという習慣は皆無に等しい。不満はよく口にするけど、不満の種を自分がどこから引っぱって来ているのか?とは探らないのである。
そう、これまでは多分探る方法を知らないだけだったのだ。
「表現アートセラピー」は、その探る作業を通して、思いがけない何かを発見することなのかも知れない。