参加者の声【表現アートセラピーワークショップで気づいたこと】

普段はイラストレーターとして仕事をしています。
編集者やディレクターの方からテーマを与えられ、それに沿った絵を描くというのが主な作業です。
各回テーマとなる「言葉」からイメージし、いろいろなヴィジュアル案を自分の中で考えるのですが、だんだん言葉から導きだすイメージが固定化してきてしまい、新しいものが沸き上がってこないような状態になることがあります。
いわゆる煮詰まっている状態です。
そんなある日、このワークの存在を知って、もしかしたらそういう時の打開策というか、何かのヒントになるかもしれないと思いました。「素直に感じる」体験をしてみたかったというのが参加の理由です。

実際、参加してみて、思っていた以上に、大変リフレッシュしました。
私が参加したワークには「墨で描くドローイング」「人から感じたものをパステルやクレヨンで描く」「粘土によって自分の感情を立体にする」「自分をパステルやクレヨンで描く」といったものがありました。
なかでも印象に残ったのは、言葉からのイメージを墨で素早く描くドローイングで、あれこれ悩んでいる暇もなく、たんたんとテンポよく数多く描いていくというものでした。
このワークが始まったとき、最初は上手く描こうと思って緊張していたのですが、段々と気持ちもほぐれてきて、「迷いなく描く」という心地よいスピード感を会得していきました。
これはもっと続けてやってみたい!と思いました。きっと同じワークを再び受けたとしても、その日の気分によって、いろんなちがった感情が絵となるのだろうと思います。

ドローイング終了後は、参加者同士ペアになって、お互いの絵を見て、それぞれどんなことをイメージしたかを伝えます。相手の方のユニークな視点に「なるほど」とうなずくこともしばしばで、一つの考え方に固執しないことの面白さをあらためて感じることができるとともに、自分にとっては全く新しい視点を発見することもできました 。
またこの日は、最後に「自分自身を感じて描く」ワークを行いました。
「こうなりたい自分」の絵を一枚、「いまの自分にとっての問題」の絵を一枚、そして、それら「2枚を統合させた」絵を一枚描きました。

「こうなりたい」と「問題」の二枚は自分の今ある感情ですから、割とスムーズに描けましたが、最後の「統合」の一枚が悩みました。「統合」といわれてもなかなか描けないわけです。
統一感を出そうとか、いろんなことを考えているうちは結局何も描けませんでした。ところが上手い絵を描こうとする気持ちを諦めたとたん、ふっとイメージが湧いてきました。
そのイメージを素早く無心で描き、終了後は晴れ晴れとした気持ちとなりました。

「こうでなければいけない」「一番いい答え」といったようなものから自分を解放することが出来た時、感じていることを表現する楽しさを知るのだなあと改めて痛感しました。
また参加してみたいですね。