参加者の声【インナーチャイルドWS in 北軽 2019 vol.2 】嵐を超えて

嵐の中のワークショップとなった。
まるで、お天気も、私達参加者の心の中を映し出しているようだった。激しい雨、吹き荒れる風、警戒情報のコールが鳴り響き、不安や、時には恐怖も炙り出すような状況の中、ワークは続いていった。

 嵐の中で取り組んでいたのは、これまでの人生を振り返るタイムラインを絵に描くワークだった。それも人生のネガティヴな側面のタイムラインだ。私は、起こる事に偶然はないと思っているが、これまでの人生が、まさに嵐のような、吹き荒ぶ暴風に翻弄されるような日々だったのだから、私の内面を掘り下げるには絶好の機会だった。
先の見えない不安な時間は、私の過去を否応無く引き摺り出した。私が見たくなかった、見ないようにしてきた、痛みの多い過去。嵐の中で蘇ってきた過去と、その後のワークで、さらに深く対面することとなった。

 5日間のワークショップだったが、2日目の夕方が嵐のピークで、3日目は綺麗に晴れた。そして4日目、天気は曇りだった。灰色の雲が空全体を覆っていた。
その日、私も含め、参加者の皆も、それぞれの過去と対面することとなった。あの場で接することとなった、たくさんの涙、叫び声、戸惑う姿、怒り、恐怖、そして悲しみ。本当は表現したかった、しかしそれが上手く出来ずに閉じ込めてられてしまった、声にならなかった沢山の声達。きっとそれらは、表に出るのを求めていたのではないか。
しかし、痛みの多い出来事に、すぐに向き合えるはずがない。だから、ずっと待っていたのだと思う。自分でその痛みに向き合えるようになるまで。長い長い時間をかけて、準備ができるまで、抑圧してしまった感情を感じられるようになるまで。
まるで冷凍保存していたように、当時そのままの感情が、私の中に蘇ってきた。悲しみ、怒り、絶望、混乱。そして、子どもの頃の感情を感じた後、私は、今の私として、子どもの私と対峙することとなった。子どもの頃の感情と一体化していた状態から、一歩引いて、インナーチャイルドを見つめられるようになった。

 チャイルドは、文字通り、子どものままだった。泣くのが怖い、一人が嫌だ、安心できない、夜寝るのが怖い。そこに何の理屈もなかった。
私は、成長するにつれ、色々な理由づけをするようになっていった。こういう理由だから、現状がこうなっている、こういう出来事があったら、悲しいのだ、だとか。私はそうやって、理由づけをして、何とか物事に一貫性を持たせようとしていたのかもしれない。
混乱した状況で生きてきた私の世界には、一貫性というものが感じられなかった。だから、何とか自分で沢山考えて、自分が生きる世界を納得できるようにしていたのではないかと思う。
しかし、チャイルドに、そんな理由づけは通用しなかった。子どもは、ただ悲しい、嫌だ、怖い、そう感じるだけだ。そういう自分と向き合うことで、私はやっと、自分の中にある素直な感情に向き合うことができた。

 ワークショップから帰って、チャイルドのための絵本を作った。泣くのが怖い、と言っているその子に、「泣いてもいいんだよ」というタイトルの絵本を作った。そうやって、悲しんでいるその子に、怖がっているその子に、一つずつ、絵本を作っていった。それはとても幸せな時間だった。子どもの頃の私には、得られなかった時間だ。私の感情に、素直に向き合ってもらえる。私はずっと、それを求めていた。

 その絵本を、私は寝る前に読んだ。チャイルドに語りかけるように。その子が安心して眠ることができるように。そして、半年ほど経った、この感想を書いている今、私は日々安心して眠れている。チャイルドに、私のメッセージが届いたのだとしたら、とても嬉しい。

 4日目のワークの後、夜空にとても綺麗な月が浮かんでいた。その晩は満月だった。抱えて閉じ込めていたものを解き放つのを、満月もサポートしてくれたように感じている。そして、参加者の皆も、とても良い笑顔だった。私達は嵐を越えて、光の中に戻ってくることができた。嵐を越える勇気を持った皆と一緒にワークができたことを、私はとても嬉しく、光栄に思っている。

 そして、アトリエワイエスの皆様、判断の難しい状況の中での手厚いサポートと、熱意と、そしていつも美味しい料理に、心から感謝です。

 ご縁のあった皆様、ありがとうございました。